ハワイのコンドミニアムや投資用不動産を売却する日本人オーナーの方から、よくいただくご質問があります。
「HARPTAで差し引かれる金額を減らすことはできますか?」
また、
「実際の税金より多く源泉徴収された場合、いつ、どのように返してもらえるのでしょうか?」
というご相談も少なくありません。
ハワイ不動産の売却では、日本在住者を含むハワイ州の非居住者について、HARPTAによる源泉徴収が行われることがあります。
しかし、HARPTAは最終的な州税額ではありません。
一定の条件を満たす場合には、売却前に源泉徴収の免除または調整を申請したり、売却後に超過分の暫定還付を申請したりできる可能性があります。
本記事では、
- HARPTAとは何か
- いくら源泉徴収されるのか
- Form N-288B(源泉徴収証明書申請)
- Form N-288C(暫定還付申請)
- Form N-289(免除証明)
- FIRPTAとの違い
- 必要書類と注意点
について解説します。
■ 結論:HARPTAは最終税額ではない
HARPTAでは、原則として買主側が、ハワイ不動産の譲渡におけるAmount Realized(一般的には売却価格に近い金額)の7.25%(2026年現在)を源泉徴収し、ハワイ州税務局へ納付します。
例えば、売却価格が$1,000,000の場合、単純計算では、
$1,000,000 × 7.25% = $72,500
が源泉徴収される可能性があります。
ただし、この金額が最終的なハワイ州税額とは限りません。
実際の税額がこれより少なければ、一定の手続きを経て還付を受けられる可能性があります。
■ HARPTAとは?
HARPTA(Hawaii Real Property Tax Act)は、ハワイ州外に居住する売主などによるハワイ不動産の譲渡について、州税を確保するための源泉徴収制度です。
重要なのは、
HARPTAは「追加の税金」ではなく、将来確定する州税の前払いに近い制度
であるという点です。
■ 誰がHARPTAの対象になるのか?
一般的には、ハワイ州の非居住者がハワイ不動産を譲渡する場合などが対象となります。
例えば、
- 日本在住の個人オーナー
- ハワイ州外に居住するアメリカ人
- 一定のCorporation(法人)・LLC・Trust
などが該当する可能性があります。
具体的な判定は、所有形態や税務上の居住者区分によって異なります。
■ ハワイ州居住者なら源泉徴収は不要?
一定の要件を満たす場合は、免除を受けられる可能性があります。
その際には、買主やエスクロー会社へ Form N-289 を提出して、免除要件を満たすことを証明します。
「対象外のはず」と思っていても、必要書類を提出しなければ源泉徴収される場合があります。

■ HARPTAの源泉徴収額が大きくなりやすい理由
HARPTAは、原則として売却価格に近いAmount Realizedを基準に計算されます。
そのため、
- 利益が少ない
- ローン残高が多い
- 売却費用が高い
- 売却損が出る
といったケースでも、多額の源泉徴収が行われる可能性があります。
■ 売却前に使う Form N-288B
一定の条件を満たす場合には、Form N-288B により、源泉徴収の免除または調整を申請できる可能性があります。
代表的なケースは、
- 売却による譲渡益が発生しない場合
- 売却代金だけでは通常の源泉徴収額を納付できない場合
です。
なお、「実際の税額の方が少ないから」という理由だけで自由に減額できる制度ではありません。
■ Form N-288B はいつ提出する?
原則として、譲渡日の10営業日前までに提出する必要があります。
クロージング直前では資料が揃わないことも多いため、売却を決めた段階で準備を始めることをおすすめします。
■ Form N-288B に必要となる主な資料
- 購入時のClosing Statement
- 売却契約書
- 売却予定のClosing Statement
- 改良費の資料
- Depreciation Schedule
- ローン残高証明
- 売却費用の明細
- Tax ID
などが一般的です。
■ 売却後に使う Form N-288C
すでにHARPTAが源泉徴収され、その金額が実際の州税額を上回ると見込まれる場合は、Form N-288C により暫定還付を申請できる場合があります。
通常の州税申告を待たずに資金を回収したい場合に検討される制度です。
■ N-288C を提出しても州税申告は必要
N-288Cは暫定還付制度です。
売却年終了後には、通常どおりハワイ州所得税申告を行い、最終的な税額を確定する必要があります。
■ HARPTAとFIRPTAの違い
HARPTAとFIRPTAはよく混同されますが、別の制度です。
| 項目 | HARPTA | FIRPTA |
|---|---|---|
| 管轄 | ハワイ州 | 米国連邦 |
| 主な対象 | ハワイ州の非居住者 | 外国人売主等 |
| 性質 | 源泉徴収制度 | 源泉徴収制度 |
| 最終税額 | いいえ | いいえ |
日本在住者がハワイ不動産を売却する場合は、両制度を同時に検討する必要があります。

■ よくある失敗
① HARPTAを最終税額だと思っていた
HARPTAは源泉徴収制度です。
最終税額は州税申告で確定します。
② Form N-288Bをクロージング直前に準備した
提出期限があるため、売却初期から準備することが重要です。
③ 改良費や減価償却資料が見つからない
証憑が不足すると、適切な税額計算が難しくなります。
④ FIRPTAだけ対応して安心していた
HARPTAとFIRPTAは別制度です。
■ 売却前チェックリスト
- □ 購入時のClosing Statement
- □ Depreciation Schedule
- □ 改良費の証憑
- □ ローン残高証明
- □ 売却契約書
- □ HARPTA対象の確認
- □ FIRPTA対象の確認
- □ 日本側の確定申告の検討
- □ 外国税額控除の確認
■ 公式フォーム一覧
HARPTA関連フォームは、ハワイ州税務局の公式ページから最新版を確認できます。
HARPTA関連フォーム一覧(N-288・N-288A・N-288B・N-288C・N-289)
フォームは改訂されることがありますので、提出前には最新版をご確認ください。
■ まとめ
HARPTAは、ハワイ不動産売却時に適用される州の源泉徴収制度です。
重要なのは、
- HARPTAは最終税額ではない
- 一定条件では売却前に免除・調整を申請できる可能性がある
- 売却後には暫定還付や通常の州税申告による還付を受けられる場合がある
- 日本在住者はFIRPTA、日本側課税、外国税額控除もあわせて検討する必要がある
という点です。
売却価格だけではなく、
「税引後に最終的にいくら手元に残るのか」
を売却前にシミュレーションすることが重要です。
■ ご相談について
当社では、日本人ハワイ不動産オーナー向けに、
- HARPTA対象判定
- Form N-288Bの適用可能性の確認
- Form N-288Cによる還付に向けた資料整理
- FIRPTA対策
- 売却時の税額シミュレーション
- 日本側課税・外国税額控除の論点整理
- 売却・保有・リファイナンスの比較
をサポートしています。
「HARPTAでいくら源泉徴収されるのか」
「最終的にいくら手元に残るのか」
を事前に把握したい方は、お気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、税務・法務・投資に関する個別アドバイスではありません。具体的な判断については、米国CPA、税理士、弁護士等の専門家へご相談ください。

