【2026年版】日本の親からアメリカへお金を送ってもらったら税金はかかる?|贈与・Form 3520・10万ドルルールを解説

アメリカに住んでいる日本人の方から、よくいただく質問の一つがあります。

「日本の親からアメリカへお金を送ってもらった場合、税金はかかりますか?」

例えば、

  • アメリカで住宅を購入するために親から3,000万円を送ってもらう
  • 事業を始めるための資金として2,000万円を受け取る
  • 親から将来の相続対策として生前贈与を受ける
  • 生活資金として日本からまとまった金額を送ってもらう

といったケースです。

ここで重要なのは、

「海外送金」と「贈与」と「税金」と「情報申告」は、それぞれ別の問題

だということです。

単に日本からアメリカへ送金したという事実だけで、米国所得税が課税されるわけではありません。

一方、日本の親からアメリカに住む子供への贈与であれば、

  • 米国でForm 3520が必要か
  • 日本で贈与税が発生するか
  • 親と子の居住地・国籍
  • 金額
  • 資金の性質

などを確認する必要があります。

本記事では、日本の親からアメリカへお金を送ってもらう場合の税務について、日米双方の視点から解説します。


■ 結論:送金されたから米国所得税がかかるわけではない

最初に結論です。

日本に住む親からアメリカに住む子供へ、純粋なGift(贈与)としてお金が送られた場合、米国では通常、そのGift自体を受取人のGross Incomeに含めません。

しかし、

「所得税がかからない」ことと「IRSへの申告が不要」なことは同じではありません。

一定額を超えるForeign Giftを受け取ったU.S. Personには、

Form 3520

という情報申告が必要になる場合があります。

さらに、日本側では別途贈与税が問題になる可能性があります。

したがって、

「アメリカではGiftだから非課税だった。これで終わり」

とは限りません。


■ そもそも「送金」と「贈与」は違う

まず整理しておきたいのが、

送金はお金を移動させる方法であり、そのお金の税務上の性質を決めるものではない

ということです。

例えば日本からアメリカへ3,000万円を送ったとしても、その3,000万円が、

  • 親から子へのGift
  • 自分の日本口座から自分の米国口座への資金移動
  • 給与
  • 事業収入
  • Loan(借入)
  • 相続による資金

なのかによって、税務上の取り扱いは全く異なります。

したがって、

「いくら送金したか」だけで税金の有無を判断することはできません。

まず確認すべきなのは、

「このお金は何のお金なのか?」

です。


■ 日本の親からのGiftは米国でIncomeになる?

日本在住の親が米国税務上のNonresident Alienで、その親からU.S. Personである子供が純粋なGiftを受け取った場合、一般的にはそのGiftを米国のGross Incomeへ含めません。

つまり、

親から10万ドルを受け取ったから、その10万ドルがそのまま米国所得税の課税所得になる

という意味ではありません。

ただし、大きなForeign Giftについては、IRSへの情報申告が必要になることがあります。

そこで登場するのが、

Form 3520(Annual Return To Report Transactions With Foreign Trusts and Receipt of Certain Foreign Gifts)

です。


■ Form 3520とは?

Form 3520は、Foreign Trustとの一定の取引や、外国人から一定額を超えるGift・Bequest(遺贈)を受け取った場合などに使用するIRSの情報申告書です。

日本の親からまとまった金額の贈与を受けたケースでは、特にForm 3520のPart IVが重要になります。

注意したいのは、

Form 3520は「Giftに所得税を課税するための申告書」とは限らない

ということです。

Gift自体がGross Incomeに含まれなくても、

一定額を超えたForeign GiftをIRSへ報告する

という別の義務が発生することがあります。


■ 「10万ドルルール」とは?

日本在住の親など、Nonresident Alien IndividualまたはForeign EstateからGiftやBequestを受け取ったU.S. Personについて、

1年間の合計額が100,000ドルを超える場合

原則としてForm 3520による報告が必要になります。

ここで最も重要なのは、

100,000ドルは「税金がかかり始める金額」ではない

ということです。

これは基本的に、

Form 3520の情報申告が必要になるかを判断する基準

です。

したがって、

「100,000ドルまでは非課税で、100,001ドルから税金がかかる」

という意味ではありません。


■ 10万ドルは「1回の送金額」ではなく年間合計で判定

例えば、日本の親から1年間に、

1月 40,000ドル
5月 35,000ドル
10月 30,000ドル

を受け取ったとします。

1回ごとの送金額は100,000ドル以下ですが、

年間合計は、

105,000ドル

です。

したがって、他の条件も満たす場合にはForm 3520の報告対象となります。

つまり、

送金を何回かに分ければ10万ドルルールを回避できる

というわけではありません。


■ 父と母から別々にもらえば20万ドルまで大丈夫?

これも注意が必要です。

Form 3520の10万ドル基準では、一定の場合、

Related Foreign Personsから受け取ったGiftを合算

する必要があります。

例えば、

父から75,000ドル
母から40,000ドル

を受け取った場合、

父母がRelated Personsであることから、合計115,000ドルとして報告義務を検討する必要があります。

したがって、

「父から10万ドル、母から10万ドルなら合計20万ドルまで申告不要」

と単純に考えるのは危険です。


■ 10万ドルを超えた場合、何をForm 3520に記載する?

Nonresident Alien IndividualまたはForeign Estateから受け取ったGift・Bequestの年間合計が100,000ドルを超えた場合、Form 3520 Part IVで報告します。

現在のIRS instructionsでは、報告基準を超えた場合、個々のGiftまたはBequestのうち5,000ドルを超えるものについて、受領日、財産の内容、Fair Market Valueなどを記載する仕組みになっています。

したがって、

  • いつ受け取ったか
  • いくら受け取ったか
  • 誰から受け取ったか
  • GiftなのかLoanなのか
  • 送金記録

を整理しておくことが重要です。


■ Form 3520の提出期限は?

一般的なCalendar Yearの個人の場合、

Form 3520の提出期限は原則として、

翌年4月15日

です。

一定の場合にはExtensionもあります。

また、Form 3520は通常のForm 1040に単純に添付するのではなく、IRS instructionsに従って別途提出する点にも注意が必要です。


■ Form 3520を出し忘れるとどうなる?

ここは非常に重要です。

Form 3520は「税金を計算する申告書ではないから、多少遅れても大丈夫」と考えない方がよいでしょう。

IRSは、報告すべきForeign Giftについて適切にForm 3520を提出しなかった場合、Penaltiesが課される可能性があるとしています。

また、期限後提出や不完全な申告の場合、IRSが受け取った資金の所得税上の性質について判断する場合もあります。

したがって、

税金が発生しないGiftであっても、情報申告義務は軽視しない

ことが重要です。


■ 日本の親の「会社」から送金された場合は別ルール

ここも重要です。

例えば、

「親が経営している日本法人から、自分の米国口座へお金を送ってもらった」

という場合、

親個人からのGiftと同じ10万ドル基準ではありません。

Foreign CorporationやForeign PartnershipからGiftとして受け取った金額については、別のReporting Thresholdがあります。

2026年については、

20,573ドル

が基準額です。

さらに、外国法人からの「Gift」はIRSによって別の取引としてRecharacterizeされる可能性もあります。

そのため、

親個人からの送金と、親の会社からの送金を混同しない

ことが非常に重要です。


■ 日本側では贈与税がかかる可能性がある

ここからが、日本人にとって非常に重要なポイントです。

米国でGiftがGross Incomeにならないとしても、

日本側で贈与税が発生しないとは限りません。

日本の贈与税は、贈与者と受贈者の、

  • 居住地
  • 国籍
  • 過去の日本居住歴
  • 贈与する財産の所在地

などによって課税範囲が変わります。

したがって、

「受け取る子供がアメリカに住んでいるから、日本の贈与税は関係ない」

とは限りません。

特に、日本在住の親から海外居住の子供へ多額の資金を贈与する場合には、日本側の贈与税を必ず確認する必要があります。


■ 日本には年間110万円の基礎控除があるが……

日本の暦年課税による贈与税では、原則として1年間に受け取った贈与財産の合計額から、

110万円

の基礎控除があります。

しかし、

「海外に住んでいるから110万円ルールだけ見ればよい」

というわけではありません。

受贈者が海外居住者の場合には、日本の贈与税の課税範囲を先に確認する必要があります。

また、多額の贈与では税率も高くなる可能性があるため、

米国のForm 3520だけ確認して日本側を忘れる

ことは避けるべきです。


■ 生活費なら贈与税はかからない?

日本では、親子などの扶養義務者から、

通常必要と認められる生活費や教育費

として、その都度受け取って実際に使用する金額について、贈与税がかからない場合があります。

ただし、

「生活費」という名目で多額のお金を一括して受け取り、

そのまま、

  • 預金
  • 株式投資
  • 不動産購入
  • その他の資産形成

に回した場合まで、すべて非課税になるという意味ではありません。

資金の目的と実際の使途を確認する必要があります。


■ ケース① 日本の親から住宅購入資金として5万ドル

例えば、

日本在住の親から米国在住の子供へ、

50,000ドル

が純粋なGiftとして送金されたとします。

米国側では、他に関連するForeign Giftがなければ、50,000ドルは100,000ドル基準を超えていないため、通常はこのGiftだけを理由にForm 3520 Part IVの報告基準には達しません。

ただし、

日本側の贈与税については別途検討が必要

です。


■ ケース② 日本の親から15万ドル

日本在住の親から、

150,000ドル

のGiftを受け取った場合を考えます。

米国側では、U.S. Personである受贈者について、

年間100,000ドルを超えているため、

Form 3520 Part IVの報告義務を検討する必要があります。

ただし、

150,000ドルそのものが米国の所得税課税所得になるという意味ではありません。

一方、日本側では別途贈与税の検討が必要です。

つまり、

米国:所得税と情報申告を確認

日本:贈与税を確認

という二段階で考える必要があります。


■ ケース③ 自分の日本口座から自分の米国口座へ5,000万円送金

これは親からのGiftとは全く違います。

例えば、

自分名義の日本の銀行口座から、

自分名義の米国銀行口座へ、

5,000万円を移動しただけであれば、

資金移動そのものは贈与ではありません。

ただし、

その資金の原資が、

  • 給与
  • 事業所得
  • 投資利益
  • 不動産売却代金
  • 相続

などであれば、それぞれ別の税務問題が存在する可能性があります。

また、U.S. Personが日本の銀行口座を保有している場合には、

FBARやForm 8938

など、海外金融口座の情報申告も別途確認する必要があります。


■ GiftとLoanを曖昧にしない

親からお金を受け取る際、

「とりあえず借りたことにしておこう」

という処理もおすすめできません。

本当にLoanなのであれば、

  • Loan Agreement
  • Principal
  • Interest Rate
  • Repayment Schedule
  • 実際の返済

など、Loanとしての実態が必要になります。

実際には返済する意思がないにもかかわらずLoanと形式だけ整えると、税務上問題になる可能性があります。

逆に、本当に親から借りるのであれば、最初からLoanとして適切に記録しておくことが重要です。


■ 送金前に準備しておきたい資料

日本の親から大きな金額を送ってもらう場合には、少なくとも次の資料を整理しておくことをおすすめします。

  • 贈与者の氏名・住所
  • 受贈者の氏名・住所
  • 贈与日
  • 贈与金額
  • Bank Wire Record
  • 日本側銀行の送金記録
  • Gift Letter
  • 資金の原資が分かる資料
  • GiftかLoanかを明確にする資料
  • 日本側の贈与税申告の要否
  • 米国Form 3520の要否

銀行からSource of Fundsについて質問された場合にも、こうした資料が役立ちます。


■ よくある誤解

① 日本からアメリカへ送金すると税金がかかる

送金という行為そのものだけで税金が決まるわけではありません。

重要なのは資金の性質です。


② 10万ドルを超えると米国で贈与税がかかる

必ずしもそうではありません。

10万ドルは、外国人個人等からU.S. Personが受け取ったGiftについて、Form 3520の情報申告義務を判断する重要な基準です。


③ 10万ドル以下なら日米とも何も考えなくてよい

違います。

米国Form 3520の10万ドル基準を下回っていても、日本側の贈与税が問題になる可能性があります。


④ 父と母から10万ドルずつならForm 3520は不要

関連する外国人からのGiftは合算が必要になる場合があります。


⑤ 何回かに分けて送ればForm 3520は不要

年間合計で判断します。


⑥ 米国で非課税なら日本でも非課税

日米は別々の税制です。

両国を確認する必要があります。


⑦ 親の会社から送っても同じ10万ドルルール

Foreign CorporationやForeign PartnershipからのGiftには別のReporting Thresholdがあります。


■ 日本からアメリカへ送金する前のチェックリスト

大きな資金移動を予定している場合には、送金前に次の項目を確認しましょう。

  • 誰から誰への送金か
  • Gift・Loan・Income・相続のどれか
  • 受取人はU.S. Personか
  • 年間のForeign Gift合計額はいくらか
  • Related PersonsからのGiftを合算したか
  • Form 3520が必要か
  • 日本の贈与税が発生するか
  • Gift Letter等を作成したか
  • Bank Wire Recordsを保存したか
  • 日本側・米国側の専門家へ確認したか

■ まとめ

日本の親からアメリカへお金を送ってもらう場合、

最も重要なのは、

「送金したら税金がかかるのか?」だけで判断しないこと

です。

確認すべきなのは、

① そのお金は何のお金なのか

② 米国ではIncomeになるのか

③ Form 3520が必要なのか

④ 日本では贈与税がかかるのか

という4つのポイントです。

特に、

10万ドルルールは「非課税枠」ではなく、Foreign Giftに関する米国の情報申告基準

という点を理解しておくことが重要です。

日本からまとまった資金をアメリカへ移す予定がある場合には、

送金した後ではなく、送金する前に日米双方の税務を確認する

ことをおすすめします。


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「日本の親からまとまったお金を送ってもらう予定だが、どのような申告が必要なのか確認したい」

「すでに送金を受けたが、Form 3520が必要なのか分からない」

という方は、お気軽にご相談ください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法務アドバイスを提供するものではありません。贈与税、Form 3520その他の税務上の取り扱いは、贈与者・受贈者の国籍、居住地、過去の居住歴、資金の性質、贈与額その他の個別事情によって異なります。具体的な取引を行う際には、日本の税理士、米国CPA、弁護士等の専門家へご相談ください。

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