【2026年版】FBARとは?日本の銀行口座はいくらから申告?Form 8938との違い

アメリカに住んでいる日本人の方の中には、日本に銀行口座を残している方が少なくありません。

例えば、

  • 日本で働いていた頃に開設した普通預金口座
  • 日本の銀行に預けている定期預金
  • 日本の証券会社にある株式や投資信託
  • 日本の親から相続した銀行預金
  • 将来の日本帰国に備えて保有している日本円の預金

などです。

ところが、アメリカの税務上の居住者や米国市民の場合、日本の銀行口座についても米国への情報申告が必要になることがあります。

その代表的な制度がFBAR(Foreign Bank Account Report)です。

「日本の銀行口座に100万円しかありませんが、申告が必要ですか?」

「複数の銀行口座を持っている場合、残高を合計するのでしょうか?」

「日本からアメリカへ送金したら、FBARは不要になりますか?」

「Form 8938を提出していれば、FBARは不要でしょうか?」

こうした疑問を持つ方は少なくありません。

本記事では、日本の銀行口座を持つ米国在住者や米国市民の方に向けて、FBARの申告条件、1万ドルルール、具体的な日本円での計算方法、Form 8938との違い、申告期限や申告漏れへの対応について解説します。


■ 結論:海外金融口座の合計額が1万ドルを超えたらFBARを確認

最初に結論です。

米国のU.S. Personに該当する方が、海外金融口座について一定の所有権や署名権限などを持ち、対象口座の合計額が暦年中のいずれかの時点で10,000ドルを超えた場合、原則としてFBARの申告義務が発生します。

ここで重要なのは、次の3点です。

① 日本の銀行口座も対象になる

アメリカ国外にある銀行口座は、日本の銀行であっても報告対象となります。

② 1つの口座が10,000ドルを超える必要はない

複数の海外金融口座がある場合、口座全体で判定します。

③ FBARは所得税を計算するための申告書ではない

FBARは海外金融口座の情報を報告する制度です。

口座に10,000ドルを超える預金があるだけで、その預金残高自体に米国所得税が課税されるわけではありません。

ただし、預金利息、株式の配当、投資利益などについては、米国所得税の申告が別途必要になる場合があります。

■ FBARとは?FinCEN Form 114の基本

FBARの正式名称は、

Report of Foreign Bank and Financial Accounts

です。

現在は、FinCEN Form 114という名称で申告します。

この制度は、米国財務省のFinancial Crimes Enforcement Network(FinCEN)が管轄しています。

通常の米国個人所得税申告であるForm 1040とは別の申告です。

項目FBARの内容
正式名称Report of Foreign Bank and Financial Accounts
申告フォームFinCEN Form 114
管轄機関FinCEN(米国財務省)
主な目的海外金融口座の情報報告
一般的な申告基準海外金融口座の合計額が10,000ドル超
申告方法BSA E-Filing Systemで電子申告
Form 1040への添付不要(別途提出)
通常の提出期限翌年4月15日
自動延長期限原則翌年10月15日

注意したいのは、米国のTax Returnを提出したからといって、FBARも自動的に提出されるわけではないことです。

毎年CPAや税理士にForm 1040を作成してもらっている場合でも、FBARが提出されているかは別途確認する必要があります。


■ 日本の銀行口座はいくらからFBAR申告が必要?

FBARの一般的な報告基準は、米ドルで10,000ドルです。

日本円で固定された基準額があるわけではありません。

例えば、2025年12月31日の米国財務省の報告用為替レートは、

1ドル=156.61円

です。

このレートを用いると、

10,000ドル × 156.61円 = 1,566,100円

となります。

つまり、2025年分の申告については、約156万6,100円が10,000ドルに相当します。

ただし、これは2025年分の計算例であり、毎年同じ金額が適用されるわけではありません。

また、実際の判定では対象口座の年間最高残高、複数口座の合算、口座間の資金移動なども考慮する必要があります。

2025年分の日本円換算例

日本円の残高米ドル換算額(概算)
100万円$6,385
150万円$9,578
200万円$12,771
500万円$31,926
1,000万円$63,853

※1ドル=156.61円で計算した概算額です。実際のFBARでは、対象年の適切な米財務省レートを使用します。

為替レートは、米国財務省のTreasury Reporting Rates of Exchangeから確認できます。


■ 1万ドルは口座ごと?複数の日本の銀行口座は合算する?

これは特に重要なポイントです。

FBARでは、原則として報告対象となる海外金融口座全体で10,000ドルの基準を判定します。

例えば、次のような日本の銀行口座を保有しているとします。

銀行年間最高残高(ドル換算)
X銀行 $6,000
Y銀行 $3,000
Z銀行 $4,000
合計 $13,000

1つの口座も10,000ドルを超えていません。

しかし、これらが独立した預金であり、対象となる最高残高の合計が13,000ドルであれば、原則としてFBARの申告対象となります。

1口座につき1万ドル以下なら申告不要、という考え方は正しくありません。

■ 各口座の年間最高残高が異なる月に発生した場合は?

ここも誤解しやすいところです。

FinCENの最高残高報告の説明では、原則として各口座の年間最高残高を個別に確認し、米ドルに換算して合算します。

例えば、

口座年間最高残高最高残高を記録した月
日本の銀行A$7,0003月
日本の銀行B$5,0009月
合計$12,000異なる月

この例で、各口座が独立した資金を保有しており、同じお金を口座間で移動させたものではない場合、通常、最高残高の合計12,000ドルを基準にFBAR義務を検討します。

したがって、各口座の最高残高が同じ日に発生している必要はありません。

ただし、ここには重要な例外があります。

日本の銀行口座間でお金を移動した場合は?

例えば、日本の銀行Aに8,000ドル相当の預金があり、その全額を日本の銀行Bへ移動したとします。

その結果、

  • 銀行Aの年間最高残高:$8,000
  • 銀行Bの年間最高残高:$8,000

となった場合、単純に合計すると16,000ドルになります。

しかし、これは同じ8,000ドルをAからBへ移しただけです。

IRSのInternal Revenue Manualでは、外国金融口座間で移動した同じ資金は、合計残高の判定において二重計算しないこととされています。

したがって、このようなケースでは、単純に16,000ドルとして判断するのではなく、実際の資金移動を確認する必要があります。

口座間の資金移動があった場合には、送金記録や銀行明細を保存しておくことが重要です。

なお、FBARの提出義務がある場合に各口座へ記載する年間最高残高の報告と、同じ資金の二重計算を避けるための合計額判定は区別して考える必要があります。


■ 年末の残高がゼロでもFBARは必要?

はい。必要になる場合があります。

FBARは、単純に12月31日時点の口座残高だけで判定する制度ではありません。

例えば、

  • 2025年3月:日本の銀行口座に300万円
  • 2025年8月:300万円を米国の銀行口座へ送金
  • 2025年12月31日:日本の銀行口座残高はゼロ

というケースを考えます。

この場合、年末残高はゼロでも、2025年中に日本の口座に300万円が存在していました。

そのため、米ドル換算額やその他の条件によっては、2025年分のFBARが必要になります。

日本からアメリカへ送金したことによって、過去の年間最高残高がなくなるわけではありません。


■ 誰がFBARを提出する必要がある?

FBARは、すべての日本人に必要なわけではありません。

まず確認すべきなのは、米国のU.S. Personに該当するかどうかです。

一般に、次の方が対象になります。

  • 米国市民
  • 米国永住権(Green Card)保有者
  • Substantial Presence Testなどによって米国税務上の居住者となる外国人
  • 一定の米国Corporation、LLC、Partnership、Trustなど

日本国籍でもFBARが必要?

はい。日本国籍であっても、米国税務上の居住者であれば対象になる可能性があります。

例えば、Green Cardを持ち、カリフォルニア州に住んでいる方が、日本の銀行に預金を保有しているケースです。

日本へ帰国したらFBARは不要?

必ずしもそうではありません。

日本に帰国しても米国市民であれば、通常は引き続きU.S. Personです。

また、Green Cardを保有している場合や、その他の理由で米国税務上の居住者に該当する場合も、FBAR義務が残る可能性があります。

一方、米国市民でも米国税務上の居住者でもなく、その他のU.S. Personにも該当しない日本居住者は、通常FBARの対象ではありません。

居住地だけでなく、米国税務上のステータスを確認することが重要です。


■ 日本のどのような口座がFBARの対象になる?

FBARの対象は銀行預金だけではありません。

銀行口座以外にも、証券口座や一定の金融商品などが対象になる可能性があります。

日本にある資産・口座FBARの取り扱い
普通預金・当座預金原則対象
定期預金原則対象
証券会社の証券口座原則対象
NISA口座内容・保有形態によって対象
投資信託内容・保有形態によって対象
iDeCo・外国年金関連の口座制度・契約形態によって個別判定
解約返戻金のある一定の生命保険対象になり得る
日本の不動産そのもの通常対象外
自宅に保管する現金通常対象外

NISA口座はFBARの対象になる?

日本のNISAは、日本の税制上、一定の投資利益に非課税措置を設ける制度です。

しかし、日本で非課税になるからといって、米国のFBARや所得税申告まで免除されるわけではありません。

NISAの証券口座を保有している場合には、その口座がFBARの報告対象となる可能性があります。

また、NISA内で日本の投資信託などを保有している場合には、米国税務上のPFIC(Passive Foreign Investment Company)に関する別の申告・課税問題が生じることもあります。

iDeCoもFBARの対象になる?

iDeCoやその他の日本の年金・退職資産については、制度の構造や本人の権利、保有形態によって取り扱いが変わるため、個別の確認が必要です。

米国の一部退職口座に認められるFBARの例外を、日本のiDeCoにそのまま適用できるとは限りません。

また、外国年金制度については、場合によってForm 8938やForm 3520など、別の情報申告も問題になります。

日本で税務上の優遇を受けている金融商品ほど、米国側の取り扱いも事前に確認することが重要です。


■ 日本の親の銀行口座もFBARで申告する必要がある?

親名義の銀行口座を子供が知っているというだけで、通常、その口座をFBARで申告する義務が生じるわけではありません。

しかし、親名義の口座であっても、子供にSignature Authority(署名権限・指図権限)がある場合には注意が必要です。

例えば、米国居住の子供が日本の親の銀行口座について、金融機関に直接指示して資金を移動できる正式な権限を持っている場合です。

このようなケースでは、本人が口座名義人でなくても、FBARの報告対象となる可能性があります。

単なる家族関係や実務上の手伝いなのか、金融機関に対する正式な権限があるのかを確認する必要があります。

同様に、日本法人の銀行口座について米国Personが署名権限を持つ場合にも、FBARが問題になることがあります。


■ 夫婦で日本の銀行口座を保有している場合は?

夫婦が日本の銀行口座を共同所有している場合、原則として、それぞれのU.S. Personが共同口座の全額をFBARで報告する必要があります。

ただし、一定の条件を満たす夫婦については、配偶者の一方が代表して共同口座を報告できる例外があります。

例えば、

  • 申告しない配偶者の報告対象口座が、すべて申告する配偶者との共同口座である
  • 申告する配偶者が共同口座を期限内に報告する
  • 必要なForm 114aを夫婦で作成・署名する

などの条件を満たす場合です。

Form 114aは通常、FinCENへ提出するのではなく、記録として保管します。

なお、夫婦がMarried Filing JointlyでForm 1040を提出しているからといって、FBARも自動的に共同申告になるわけではありません。


■ FBARとForm 8938の違いは?

FBARと混同しやすい制度に、

Form 8938(Statement of Specified Foreign Financial Assets)

があります。

Form 8938は、FATCAに関連する米国の海外金融資産情報申告です。

両方とも海外資産に関係する制度ですが、提出先、対象資産、報告基準が異なります。

比較項目FBARForm 8938
フォームFinCEN Form 114IRS Form 8938
管轄・提出先FinCENIRS
一般的な金額基準$10,000超居住地・申告区分などによって異なる
主な対象海外金融口座一定の海外金融口座およびその他の海外金融資産
Signature Authorityのみの口座対象になり得る通常、それだけでは対象外
提出方法別途電子申告原則として所得税申告書に添付
両方必要になる可能性ありあり

特に重要なのは、Form 8938を提出しても、FBARの提出義務がなくなるわけではないことです。

両方の条件を満たす場合には、両方の申告が必要になります。


■ Form 8938はいくら以上で必要?

Form 8938の申告基準は、米国在住か海外居住か、またFiling Statusによって異なります。

米国在住者の場合

Filing Status年末時点の対象資産額年中のいずれかの時点
Single$50,000超$75,000超
Married Filing Separately$50,000超$75,000超
Married Filing Jointly$100,000超$150,000超

重要なのは、年末基準と年間最高額基準の両方を超える必要はないということです。

どちらか一方を超えた場合でも、他の条件を満たせばForm 8938が必要になります。

例えば、米国在住の夫婦がMarried Filing Jointlyで申告する場合、

  • 年末の対象海外金融資産が120,000ドル
  • または年中のいずれかの時点で160,000ドル

という場合には、原則としてForm 8938の金額基準を超えています。

一定の海外居住要件を満たす場合

Filing Status年末時点の対象資産額年中のいずれかの時点
Single・Married Filing Separatelyなど$200,000超$300,000超
Married Filing Jointly$400,000超$600,000超

この高い基準は、日本に住んでいるという理由だけで自動的に使えるものではありません。

Tax HomeおよびBona Fide Residence TestやPhysical Presence Testなど、所定の要件を満たす必要があります。

また、Form 8938については、その年度の所得税申告書の提出義務自体がない場合、通常はForm 8938も提出不要です。

一方、FBARには独立した申告義務があるため、Form 1040の提出義務がなくてもFBARが必要になる場合があります。


■ FBARとForm 8938の具体例

ケース① 日本の銀行口座に30,000ドル

米国在住の独身者が、日本の銀行口座に30,000ドル相当の預金を保有していたとします。

他に対象資産はないものとします。

FBAR:原則必要

10,000ドルを超えているためです。

Form 8938:通常不要

米国在住Singleの金額基準には達していないためです。

ケース② 日本の金融資産を80,000ドル保有

米国在住の独身者が、日本の対象金融資産を80,000ドル保有し、年間を通じて大きく変動しなかった場合です。

FBAR:原則必要

対象口座の報告基準を超えているためです。

Form 8938:原則必要

米国在住Singleの年中75,000ドル超という基準を満たすためです。

ケース③ 日本の不動産を直接所有

米国在住者が、日本に5,000万円相当の不動産を個人名義で直接所有しているケースです。

FBAR:不動産そのものは通常対象外

Form 8938:直接保有する不動産そのものは通常対象外

ただし、不動産の家賃収入を保管している日本の銀行口座や、不動産を所有する外国法人の株式などは、別途情報申告の対象となる可能性があります。

不動産から発生する所得の米国所得税申告についても、別に検討する必要があります。


■ FBARの申告期限はいつ?2026年10月15日に注意

FBARの一般的な提出期限は、対象年の翌年4月15日です。

ただし、原則として10月15日までの6か月間の自動延長が認められています。

通常、このFBARの自動延長を利用するために、別途Extension Requestを提出する必要はありません。

FBAR対象年通常の提出期限一般的な自動延長期限
2025年分2026年4月15日2026年10月15日
2026年分2027年4月15日2027年10月15日

2026年10月15日は何年分の申告期限?

2026年10月15日は、原則として2025年分のFBARの自動延長期限です。

2025年1月1日から2025年12月31日までに保有していた海外金融口座について報告します。

2026年中の口座については、原則として2027年に申告します。

なお、一定の災害救済措置や、限られた金融専門職等のSignature Authorityに関する特別な期限延長など、例外が適用される場合があります。


■ FBARの提出方法

FBARは、FinCENのBSA E-Filing Systemからオンラインで提出します。

公式サイト:

https://bsaefiling.fincen.treas.gov

個人の申告者は、通常、専用の電子申告画面から提出できます。

主に必要となる情報は次のとおりです。

  • 申告者の氏名・住所
  • SSNまたはITINなどの識別情報
  • 金融機関名
  • 金融機関の所在地
  • 口座番号
  • 口座の種類
  • 年間最高残高
  • 共同所有者や署名権限に関する情報

年間最高残高は、まず各口座の通貨で確認します。

日本円口座であれば、日本円で年間最高残高を求め、対象年の米財務省の年末為替レートで米ドルに換算するのが原則です。

FinCENの指示に従い、報告するドル金額は次の整数ドルに切り上げます。

提出後はConfirmationや申告控えを保存しておきましょう。

また、FBAR関連の記録は原則として5年間保存する必要があります。


■ FBARを提出し忘れた場合はどうなる?

FBARの申告義務があるにもかかわらず提出しなかった場合には、民事上のペナルティが課される可能性があります。

故意の違反については、さらに重い民事罰や刑事罰が問題になることもあります。

一方、すべての申告漏れに対して自動的に同じペナルティが適用されるわけではありません。

違反が故意かどうか、合理的な理由があるか、所得税の申告漏れがあるか、過去の申告状況などによって取り扱いは異なります。

2026年の重要な変更:Delinquent FBAR Submission Proceduresについて

2026年6月末から7月初めにかけて、IRSのウェブサイトから、従来の**Delinquent FBAR Submission Procedures(DFSP)**に関する専用案内が削除されました。

以前、この案内では、一定の条件を満たす納税者が期限後FBARを提出する場合について、ペナルティを課さない取り扱いが説明されていました。

しかし、2026年10月時点では、従来の案内をそのまま利用してペナルティ免除を当然視することはできません。

IRSの現在の一般向け説明では、過去にFBARを提出すべきだったことが分かった場合、速やかに電子申告するよう案内しています。

また、要件を満たす納税者には、Streamlined Filing Compliance Proceduresなどの制度が関係する場合があります。

ただし、これらの制度にはそれぞれ適用条件があり、必ずペナルティが免除されるわけではありません。

特に米国在住者向けのStreamlined Domestic Offshore Proceduresでは、所定の条件のもとで5%のMiscellaneous Offshore Penaltyが発生する場合があります。

過去のFBAR申告漏れが判明した場合には、

  • 何年分のFBARが未提出なのか
  • 各年度の口座残高はいくらだったか
  • 口座の利息・投資利益を米国所得税申告に含めていたか
  • Form 8938などにも申告漏れがあるか
  • どの修正・救済手続きが適切か

を確認することが重要です。


■ よくある質問

Q1. 日本の銀行口座が100万円だけでもFBARは必要?

2025年分の為替レートを使用した場合、100万円は約6,385ドルです。

他に対象となる海外金融口座がなく、Signature Authorityを持つ口座などもなければ、通常はこの口座だけでFBARの1万ドル基準を超えません。

ただし、複数の口座がある場合には合算が必要です。

Q2. 日本の銀行口座に利息がついていなければ申告不要?

いいえ。

FBARの申告義務は、利息収入の有無ではなく、口座の保有状況や残高などによって判定されます。

Q3. 日本の口座からアメリカへ送金すればFBARは不要になる?

送金したという事実だけで、過去のFBAR義務がなくなるわけではありません。

日本の口座から自分の米国口座への資金移動そのものは、通常、新たな所得や贈与ではありませんが、FBARの報告義務は別途判断します。

Q4. 日本の親から相続した銀行預金も対象?

相続によって日本の銀行口座を取得した場合、その後の所有権や残高によってはFBARの申告対象になります。

ただし、相続そのものに関するForm 3520等の情報申告や税務上の問題は、FBARとは別に検討する必要があります。

Q5. Form 8938を提出していればFBARは不要?

いいえ。

両方の申告条件を満たす場合には、両方必要です。

Q6. 日本の不動産もFBARに記載する?

日本の不動産を直接保有している場合、不動産そのものは通常FBARの対象ではありません。

ただし、その家賃収入を預けている日本の銀行口座などは対象になる可能性があります。


■ 日本の金融口座を持つ方のFBARチェックリスト

米国で生活している方、日本に帰国した方、日米双方に金融資産がある方は、次の項目を確認しておきましょう。

  • 自分が米国のU.S. Personに該当するか確認した
  • 日本にある銀行口座・証券口座などをすべて確認した
  • 各口座の年間最高残高を確認した
  • 適切な米財務省の為替レートでドル換算した
  • 対象口座の合計が10,000ドルを超えるか確認した
  • 日本の口座間で移動した資金を二重計算していないか確認した
  • 親族名義や法人名義の口座に署名権限がないか確認した
  • Form 8938が必要か確認した
  • 日本の預金利息・配当・投資所得について米国所得税申告を確認した
  • FBARを期限内に提出した
  • 申告控えと銀行明細を保存した

■ まとめ:日本の銀行口座は「残高」と「申告義務」を確認することが重要

日本の銀行口座を保有している場合、米国への情報申告が必要になることがあります。

特に覚えておきたいのは、次の4点です。

① FBARは、海外金融口座の合計額が年間のいずれかの時点で10,000ドルを超えた場合に、原則として申告が必要になる制度です。

② 複数口座については、原則として年間最高残高を確認します。ただし、同じ資金を海外口座間で移動した場合には、二重計算を避ける必要があります。

③ FBARとForm 8938は別制度です。両方の条件を満たせば、両方提出しなければなりません。

④ FBARは情報申告であり、銀行口座の預金残高そのものに米国所得税を課税する制度ではありません。

米国に移住して長年経過している方や、日本の銀行口座をそのまま残している方、日本へ帰国した米国市民・永住権保有者の方は、一度海外金融口座の申告状況を確認しておくことをおすすめします。

海外金融口座の情報申告は、問題が発生してからではなく、毎年の確定申告時に確認しておくことが重要です。


■ 日米クロスボーダー税務・海外資産に関するご相談

111 Capital Groupでは、日本とアメリカの両方に資産を保有する方に向けて、税務・資産管理に関するご相談を承っています。

例えば、

  • 日本の銀行口座についてFBARが必要か確認したい
  • FBARとForm 8938の違いを整理したい
  • 日本のNISAや海外金融資産に関する米国税務を確認したい
  • 日本の親から受け取った贈与とForm 3520の関係を確認したい
  • 日本からアメリカへの資金移動に関する税務上の論点を整理したい
  • 日本とアメリカの両方に保有する資産について、税務申告や管理方法を見直したい

といったご相談です。

日本の銀行口座や海外資産について不明な点がある方は、お気軽にお問い合わせください。


■ 参考資料・公式情報

  1. FinCEN|Report Foreign Bank and Financial Accounts
  2. FinCEN|Reporting Maximum Account Value
  3. IRS|Report of Foreign Bank and Financial Accounts(FBAR)
  4. IRS|Comparison of Form 8938 and FBAR Requirements
  5. IRS|Instructions for Form 8938
  6. IRS|Internal Revenue Manual 4.26.16:FBAR
  7. U.S. Treasury|Treasury Reporting Rates of Exchange
  8. FinCEN|BSA E-Filing System
  9. IRS|Understand How to Report Foreign Bank and Financial Accounts

※本記事は2026年10月1日時点で公表されている情報に基づく一般的な解説です。個別の税務・法務アドバイスを提供するものではありません。海外金融口座の報告義務は、米国税務上の居住者区分、口座の種類、所有形態、署名権限、その他の個別事情によって異なります。具体的な申告については、米国CPA、税務弁護士等の専門家へご相談ください。

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